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【セミナー/イベントレポート】 バーの歴史と現代をテーマに繰り広げる一大ショー
Tokyo インターナショナル・バーショー2013開催

バーの歴史と現代をテーマに繰り広げる一大ショー
Tokyo インターナショナル・バーショー2013開催

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テーマは"Legends & Rising Stars" 
伝説の巨人と新星がバーテンディングを競う

バーの歴史をひもとき、今日のトレンドに触れる。それは、世界中のウイスキーとスピリッツ実に数百種類を集め、国内外で活躍する伝説のバーテンダーがパフォーマンスを披露する、春の祭典だ。トークショーあり、数々の実演あり、各ブースでは艶やかなイメージガールたちが回遊するゲストたちを試飲に誘う。「オープン!」の宣言と同時、一斉に振られるシェーカー。ファン待望のバーショーが、今年も華々しく開幕した。

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伝説と新星の登場に、会場の興奮も極まる

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開場前から長蛇の列ができ、この日を待っていた人々の期待の高さがうかがえる。二つの会場にステージを設け、ブランドごとにブースが並ぶ。ステージ上で二日間に行われるプログラムは42本と盛りだくさんだ。中でも白眉となるのは、世界のバーシーンで知らぬ者のない伝説のバーテンダーと、次代を担うと目される新星バーテンダーそれぞれの競演である。この「Tokyo インターナショナル・バーショー2013」のテーマである、""Legends & Rising Stars"を体現するプログラムなのだ。

ニューヨークと銀座から、二人の新星を紹介

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最初に登壇したのは、N.Y.の最先端バーシーンで独創的なカクテルを生み出し続け、注目を浴びるニューリーダー、ジム・ミーハンさん。競演するのは、IBA世界カクテル大会2012の日本代表であり、ジャパニーズバーテンディングの明日を担う耳塚史泰さんだ。どの世界でも、"独創的"で在り続けることは難しい。その秘訣はどこにあるのだろうか。

「スタンダードやクラシックカクテルを改めて見直し、既存のレシピに疑問を持つことが、新しい何かを生み出すきっかけになります」

MCに聞かれた耳塚さんが答える。まさに温故知新、クラシックを敬いつつ挑戦し続ける真摯な姿が垣間見える。一方のミーハンさんの答えは、いかにもニューヨーカーらしい洒脱なものだった。

「どこかで生まれたカクテルが、世界中を旅していくうちに、それぞれの国の香りをまとって新しいものにアレンジされていく。グローバルな時代、カクテルにはそうした無限の可能性があります。今後が楽しみですね。今回の来日で、僕は耳塚さんのバーも訪ねましたが、スキルやテクニックだけでなく、グラス、アイス、ガーニッシュなどのディテールまでもが美しいと感じました。大いにインスピレーションを受けましたよ」

そんな二人がこれから作るカクテルに、ますます期待が高まっていく。

五感のすべてで味わうカクテルと、意表を突く斬新なカクテル

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まず、耳塚さんが作り始めたのはガーニッシュだ。グレープルーツ、オレンジの皮を薄く削ぎ、型抜きやナイフを使って可憐な花の形にしていく。

「繊細なガーニッシュは、日本のバーテンダーがとても得意とするところです。お客様に"見せる"工程もパフォーマンスの一環として大切にしたいですね」

今日のカクテルは、世界大会のアフターディナー部門で優勝したオリジナル「シャイニング・ブルーム」。グレイグース ラ ポワール、グランマルニエ コルドンルージュを使い、食後酒にふさわしいクリーミーで繊細な味わいが特徴。まるで上質なロールケーキのようなイメージだという。来店時にも味わったというミーハンさんは、「見た目、香り、食感、五感のすべてを使って楽しめるカクテルだ。素晴らしい」と評した。

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ミーハンさんは、先程の言葉通り、クラシックカクテルに日本流のアレンジを加えたオリジナルを披露するという。テキーラとジンがベースとなるが、このテキーラ、なんと瓶の中に海苔を漬け込んで風味を移してあるそうだ。日本人にはなかなか思いつけないアイディアかもしれない。「ピアレス」と名付けられたカクテルを味わった耳塚さんは、「すごい。甘い香りとテキーラの切れ味にギャップがあって、入口と出口が違うという感じ。ほのかな海苔の風味、グラスにスプレーしたフェンネルの香り、多彩で見事です」とコメントした。互いを認め合う若きバーテンダーたちのパフォーマンスに、輝かしい時代の到来を確信した観客は多いだろう。

世界のバーシーンを牽引して来た巨人たち

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初日最後のメインステージを飾ったのは、伝説のバーテンダーお二人だった。一人は、日本バーテンダー会の重鎮、毛利隆雄さん。銀座にある毛利さんのバーには、究極の「毛利マティーニ」を求めて世界中のマティーニファンがやって来る。そしてもう一人は、英国バーにその人ありと謳われた、ピーター・ドレリさん。世界トップクラスのホテルの中でも随一のバーテンダーとして長く活躍し、引退後も世界のコンクールで審査員を務めている。日英を代表するレジェンドたちが登場すると、観客からは大きな拍手が起こった。

若い世代のバーテンダーにメッセージを、と求められ、毛利さんは簡潔に答える。

「カクテルはバランスが大切だと思っています。バランスが良いカクテルは、ドライでもスイートでも美味しいものです」

"バランスの良いカクテル"を作るためには、レシピだけではない何かが必要不可欠なのだろう。ドレリさんが後を引き取った。

「若い諸君には、ただ楽しみなさいと伝えます。皆さんの目の前には開けた世界があり、カクテルはワールドワイドな広がりを持っています。バーテンダーとしての自分を楽しみ、自分に正直に、そしてクリエイティブであれ!」

伝説の巨人たちからのメッセージには重みがある。お二人が、長年培った技術と知識を若い世代に伝えることに熱心であるのは、バー文化にとって、ひじょうに幸せなことだ。

それぞれに確立したスタイルが結晶したカクテル

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毛利さんが作るのは、「ハバナ・マティーニ」。ラムをベースにしたオリジナルカクテルだ。美しいステアリングで出来上がった一杯を、ドレリさんは「すべてのバーテンダーに」と掲げてからゆっくりと味わう。「一瞬でキューバに連れ出さるようなマティーニだ」との感想に、自分も飲んでみたいと思わなかった観客は、多分いない。

「今度は僕が、皆さんを古き良きイングランドにお連れしよう」

そのドレリさんは、ジンをベースにしたクラシックカクテル「ホワイトレディ」を、巧みな話術とともに作っていく。

「これは世に出ているカクテルの、おばあちゃんのような存在だ。ここから始まって、いろいろな国でアレンジされて、どんどん派生のカクテルが生まれたんだよ。ジンの代わりにブランデーを使えばサイドカー、ウォッカならバラライカという具合にね」

毛利さんは、ドレリさんのカクテルを飲み、「スムーズですね」と評した。多くのカクテルのルーツとなるレシピ。それは、ドレリさんや毛利さんのような存在が、若い世代に与える影響とも重なる。その業績が、世界中で美しい化学反応を引き起こし、新しいムーヴメントが生まれるに違いない。

盛りだくさんなステージプログラムに歓声

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大小3つのステージで行われる42本のプログラムは、ブランドセミナー、女性バーテンダーたちの競演、世界が注目する日本のフルーツカッティングや氷に関するスペシャルテクニックの実演など、盛りだくさんだ。しかしもっとも会場が沸いたのは、やはりフレア・バーテンディング・ショーだろう。体に響くビートに合わせ、華麗なパフォーマンスでカクテルを作る「フレア」。今回は、国内外の競技会で多くの入賞経験を持つ日本の第一人者、ミツさんとゴリチョさんの二人が鮮やかな技で観客を魅了した。作るのは、カリブ海エリアNo.1ラムブランド「ブルガル」を使ったモヒートだ。

空を舞うボトルを手の甲やヒジ、ティンで受け止め、ピタリと静止させるたびに歓声が巻き起こる。フレアの醍醐味は、観客が参加できることにある。声援を送り、コールをし、煽り煽られて、舞台を中心に空気が熱せられていくようだ。並べられたグラスの酒が、瞬時に別々の色に変わったとき、熱狂はピークに達した。スピード感のあるパフォーマンスは、一瞬たりとも観客が目を離すことを許さない。バーの楽しみ方にも多様性がある。静かにグラスを傾けるのも粋、こんな風にフロア全体を揺るがすほどの一体感で飲むのもまた、粋なのだ。

ブースを回遊し、世界中のウイスキーを知る

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二つの会場にはブランドごとにブースが設置され、数百種類のウイスキーとスピリッツを試飲できる。会場に入ってすぐに目につくのは、サントリーのハイボールタワーだ。山﨑、白州、プレミアム角、マッカランが、炭酸のしっかりした美味しいハイボールとなってタワーから供される。衰えないハイボール人気を反映するように、老若男女が列を作っていた。

その隣りに位置するブースは、今春発売されたばかりの「プレミアム角」。実は、もっとも人が途切れず人気だったのが、このブースだった。ハイボールとの相性が抜群の角瓶は若い世代にも浸透したが、"ワンランク上のウイスキー"として、プレミアムへの期待は高かったようだ。「濃くて美味しい」と好評で、年齢層も若者だけでなく、壮年の男性の姿が目立った。

家飲みの需要も高そうだ。「山﨑」「白州」「響」のブースは、とくに女性に人気があり、「飲み比べてみたい」という声がよく聞かれた。蒸溜所の様子や、作り手のこだわりにも興味津々で、スタッフと和やかに談笑しながら味わっている。

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レオナルド・ディカプリオの「クール・バーボン、始まる」のCMでお馴染みの「ジムビーム」には、スタイリッシュな若者が集まっていた。バーボンに氷をぎっしり入れ、炭酸で割って飲む新しいスタイルは、すでに流行の兆しを見せている。

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夕暮れが近づくにつれ、人は増えていく。MIDORI、ブルガル、ビーフィーター、アペロール、それぞれのブースが賑わいを増す。バーショーのファンで、毎回、楽しみに訪れるという人も少なくない。どの顔も、心からこの祭典を楽しんでいるのがわかる。日本のバーテンダーは今、世界の注目の的だ。洗練された所作、繊細で緻密なディテール。ピーター・ドレリさんは、「ヨーロッパの若いバーテンダーたちがそのシェイキングスタイルを真似るほど、日本人のレベルは高い」と話している。同時に、日本人バーテンダーにとっても世界は広く、最新トレンド情報を得る機会は多いほど良いだろう。バーショーが大いなる刺激になるのは間違いのないところだ。来年も、その次も、バーショーが続く限り、日本のバーシーンもさらなる発展を遂げていく。

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