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【セミナー/イベントレポート】 手作りと伝統のこだわりを守る"赤のバーボン"の秘密に迫る

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琥珀色のボトルには、赤い封蝋。その姿が印象的なアメリカを代表するプレミアムバーボン「Marker's Mark(メーカーズマーク)」。このほど、東京・丸の内のパレスホテル東京で同バーボンのセミナーが開催された。ゲストにはメーカーズマークのマスターディスティラーであるGreg Davis(グレッグ・デイビス)氏を迎え、来場者とともにテイスティングを行いながらメーカーズマークの歴史やこだわり、さらにその味わいの魅力など、さまざま話題が繰り広げられた。


最年少のマスターディスティラー

この日、会場はほぼ満員。テーブルにはテイスティングのセットが置かれ、おごそかなムードでセミナーがスタートした。

参加者の前に現れたデイビス氏は、メーカーズマークのシンボルカラーでもある赤いシャツをまとって登場。同氏は3年前にメーカーズマークのマスターディスティラーに就任、バーボン業界で最年少のマスターディスティラーという肩書をもつエキスパートだ。

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歴史を振り返りつつバーボン誕生を追う

まずはデイビス氏がバーボン誕生の歴史を紹介。スコットランドやアイルランドの移民がペンシルバニアでライ麦から生み出したバーボンが、やがてジョージ・ワシントンによる高額な酒税のために醸造所をケンタッキーへと移したこと。その中の酒造家に、のちにメーカーズマークを作り出すこととなるサミュエル家がいたことなど、当時の歴史を振り返りながらバーボンの発祥を解説した。


「ケンタッキーはバーボンに必要な三つの要素を備えていた土地だったのです」とデイビス氏。主原料となるコーンの栽培に適した土地であること、熟成に必要なホワイトオークが多く繁っていること、そして同氏いわく"最も重要な要素"として、ライムストーンウォーターと呼ばれる、ミネラルを多く含んだ天然水が豊富であることが挙げられた。「この水はヨーロッパの硬水よりも硬度があり、酵母と相性が良い。そのおかげでメーカーズマークは雑味のない味わいを生み出せたのです」と、デイビス氏は語った。

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バーボンの6つの定義とは?

そのバーボンには「6つの定義」がある、とデイビス氏。

(1)アメリカで作られたものであること
(2)原料の51%以上をコーンが占めている
(3)蒸留の際、アルコール分が80%を超えてはいけない
(4)内側を焦がしたアメリカンホワイトオークの樽で熟成させる
(5)樽の中に入れる時点でのアルコール度数が62.5%を超えてはいけない
(6)水以外の添加物は一切入れない――というルールだそう。

メーカーズマークに関しては(5)の樽に入れる段階で、通常のバーボンよりも低い55%という度数をキープするという。「手間はかかりますが、これこそがほかのバーボンにはない、やわらかな味わいの特徴として活きてくるのです」とデイビス氏。それらは最終的に、65%のピュアウイスキーとして仕上がっていく。


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Makers-0.jpg いまでもセンスを感じさせるラベルとマークの考案者は?

次のテーマは、ラベルとマークについて。「ラベルデザインは当時から変わっていません。ラベルと同ブランドの名前はサミュエル家の4代目、ビル・サミュエルの妻マージが考案したものです。彼女がコレクションしていた工芸品のピューターにつけられていた作者の刻印をヒントに、職人をあらわすスタンプ=Maker's Markがふさわしいと、この名を冠するようになったのです」。

ラベルにある刻印は、4代目サミュエルを示す「SⅣ」の文字と、コーンの生産農場が「スターヒルファーム」という名から星のマークをあしらったという。さらに同家はスコットランド系なので、「E」のないつづりの「WHISKY」になったと説明。さらに「リッピング」と呼ばれる、赤い封蝋は現在も手作業で行われていることも紹介された。

特徴となる原料は冬小麦

これだけのこわだりがあるメーカーズマーク。もちろん、その原料にも並々ならぬこだわりがあるという。デイビス氏によると「メーカーズマークの原料はコーンが70%で14%がモルト。残りは小麦ですが、ソフトブレッド用の冬小麦を使っていることが大きな特徴です」とにっこり。「一般的なバーボンはライ麦が使われますが、うちは11~12月に植え、5~6月に収穫する冬小麦を使います。引き締まったやわらかい甘みがあり、ライ麦と比べるとその味わいがまったく違うのです」。

しかしサミュエル家が小麦でバーボンを作ろうとしたとき、ほかに小麦を使うところは皆無。「熟成期間を無駄にしないため、家族みんなで小麦を使ってパンを焼き、風味や香りの違いを検証したそうです」とデイビス氏。

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その結果、舌の奥で酸味を感じるライ麦に対し、舌の先で甘みを感じられる小麦を使うことになった。さらに小麦の精製段階でも丁寧な工程を経ることで、メーカーズマーク独特の風味豊かなフレーバーが完成するのだとか。「うちは今日まで、昔ながらの作り方を受け継いできました。この製法こそが、伝統的な味わいを生み出すのです」。


こだわりの樽でバニラの味わいに

もちろん、その原種を熟成させる樽にもこだわりがある。デイビス氏いわく「現在、樽を完成させるのに9カ月も費やすのはうちくらい」というその樽は、屋外に放置させることでタンニンがまろやかになり、バニラの風味がつくそう。その樽に入るとき、原酒は55%までアルコール度数が落とされる。「あえてそうすることで樽の中の雑味を避け、我々がほしい要素だけを取り出すのです」。

これほどまでに時間と手間をかけたバーボンは、熟成のときを経てハチミツ色でバニラの味わいをもったメーカーズマークとして完成する。デイビス氏の解説が終わると、いよいよ原酒のテイスティングが始まった。

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長さが重要ではなくバランスが決め手

最初に味わったのは「LESS THAN ONE DAY OLD(ホワイトドッグ)」。蒸溜したての、バーボンの赤ちゃんのような原酒だ。口に含むと、なんとも甘く、まさにパンを食べたときに味わうあの風味が広がった。「この熟れたフルーツのような味わいは、代々サミュエル家に受け継がれてきた酵母の味です」とデイビス氏。

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次は「ONE YEAR OLD」と呼ばれる、1年熟成のもの。バニラの甘いフレーバーが感じられる。「1年目だと、まだ少し力強いスピリッツが感じられると思います」。 そして、いよいよ登場したのが「Marker's Mark」。先の2種類に比べ、やわらかな味わいが際立っている。「ここで唯一、メーカーズマークだけがもつ特徴である"舌の先でアフターフレーバーを味わえる"感覚を体験してもらえると思います。キャラメルのような味わいに、スピリッツと樽の特徴が完全に調和した状態です」とデイビス氏。


ここで「みなさん、こんなに甘いなら、なぜもっと熟成しないのかと思われるかもしれません」と、デイビス氏が最後のグラスを示す。「OVER MATURED(過熟成原酒)」と呼ばれる4番目のグラスを味わうと、今度は舌の奥に荒い味わいが感じられた。「これは長く置かれすぎたタンニンの風味です。一概に長く熟成させればいいというわけではない。メーカーズマークとしての味わいのバランスが最も整ったときに出荷するのが、うちのこだわりなのです」とデイビス氏が微笑む。

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甘みのあるメーカーズマークはどんなフルーツとも好相性

ひと通り原酒を味わったあとには、デイビス氏がおすすめするレシピが紹介された。「私もいろいろ試しましたが、メーカーズマークはほぼすべてのフルーツと相性がいいですね」ということで、同氏こだわりのクラシックなミントジュレップの作り方が披露された。

質疑応答の時間になると、参加者からは蒸溜ポットの違いや水に関する質問、熟成に関する情報など、さまざまな質問が寄せられた。一つひとつ、通訳を介しながら丁寧に質問に答えていくデイビス氏に拍手が贈られ、セミナーは幕を閉じた。

終了後、会場を出た参加者たちにちょっとしたサプライズも。先ほど紹介された特製ミントジュレップが用意されていたのだ。さわやかな味わいのミントジュレップを楽しみながら、参加者からは「原料へのこだわりを感じた」「伝統の味をしっかり守っているところに感動した」という感想や「彼らのバーボンに対する想いや愛情がうかがえた」など、参加者たちにとっても、メーカーズマークが持つ歴史と味わいを舌と心で感じられる1日となった。

<ミントジュレップレシピ>
 ・メーカーズマーク 30ml
 (※デイビス氏おすすめは40~45ml)
 ・シュガーシロップ 5ml
 ・クラッシュアイスを入れる
 ・ミントの葉をそえる
 (※手のひらでたたき、香りを出してから浮かべると、バーボンの味わいを生かすことができる)
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