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【セミナー/イベントレポート】モリソン・ボウモア・ディスティラーズが体現してきたスコッチ・ウイスキーの多様性

2大ブランドの魅力に迫る「ボウモア&オーヘントッシャン ブランドセミナー」レポート

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スコッチ・ウイスキーの老舗が満を持して送り出す『オーヘントッシャン アメリカンオーク』

世界5大ウイスキーの1つにも数えられる『スコッチ・ウイスキー』発祥の地、スコットランドに本拠地を置く『モリソン・ボウモア・ディスティラーズ(MBD)』。〝The Single Malt Specialist〟という理念を掲げ、常に紳士的な姿勢でウイスキーと向き合ってきた同社が、この度、新製品『オーヘントッシャン アメリカンオーク』を発売する。これにあわせて、MBDのグローバルブランドアンバサダーを務めるゴードン・ダンダス氏が初来日。同社が誇る2大ブランド、『オーヘントッシャン』と『ボウモア』のセミナーが開催された。

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ウイスキーの肝であり、最終的なテイストを左右する〝スピリッツ〟

MBDのグローバルブランドアンバサダーのセミナーが受けられる滅多にない機会ということで、会場にはたくさんの参加者が駆けつけ、用意された席はほぼ満席となった。参加者の前にはオーヘントッシャンとボウモアの中から、それぞれ製造過程や熟成年数の異なるウイスキーが4種類ずつ用意され、会場全体を華やかな香りが包み込んだ。
「ウイスキーで最も大切なのはテイストです」と話すダンダス氏は、オーヘントッシャン最大の特徴としてと〝3回蒸溜〟いう製法を挙げた。一般的なモルトウイスキーは初溜、再溜という2回の蒸溜を経て完成する。ところが、オーヘントッシャンの場合はこの間に中溜という行程を挟むことによって、デリケートでスムーズな味わいを実現している。

3回蒸溜の効果はそれだけに留まらない。蒸溜を繰り返すことで多くの不純物が取り除かれるほか、加熱機会が多い分、熱化学反応によってフルーティな香りのするエステル類が生じるなどの効果もあるという。

通常のモルトウイスキーに比べ、時間も費用も多くかかるため、3回蒸溜の必要性には疑問を呈する声も多いが、ダンダス氏は「我々が目指すテイストを実現するために3回蒸溜は必須事項です」と強調した。

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ウイスキーにとっての家とも言える、快適で上質な〝樽〟

ダンダス氏曰く「良質なスピリッツ作りは全体の過程の半分で、もう半分は樽の質にかかってくる」とのこと。ウイスキーのフレイバーを大きく左右する樽を、家に例えて「よいウイスキーを作るためには、スピリッツをいい家に入れてあげなければならない」と説明した。オーヘントッシャンのスピリッツは樽材との反応が強く、樽の影響をダイレクトに受けるためだ。

今回新たに発売される『オーヘントッシャン アメリカンオーク』はファーストフィルのバーボン樽のみを使って熟成されている。実際にテイスティングしてみると、バーボン樽由来の甘いバニラのような香りが鼻孔をくすぐり、続いてクリーミーでスムースな味わいが口の中に広がる。3回蒸溜とバーボン樽が醸し出す味の多様性や深みを存分に感じることができるスコッチ・ウイスキーだ。
『オーヘントッシャン アメリカンオーク』についてダンダス氏は「非常に評判のいいウイスキー」と紹介しつつ、「意外性はない」と語る。それはつまり〝究極の王道をいくウイスキー〟であるという自信のあらわれに他ならない。

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オーヘントッシャンの個性的なウイスキー達

今回のセミナーでは『オーヘントッシャン 12年』や『オーヘントッシャン スリーウッド』などのテイスティングも行われた。

『オーヘントッシャン 12年』はバーボン樽由来のバニラフレーバーに加えて、シェリー樽由来のクリームブリュレのような香りが特徴。『オーヘントッシャン アメリカンオーク』に比べて色が濃く、コクもある。クリーミーであると同時に、ドライな余韻を味わうことができるウイスキーだ。
『オーヘントッシャン スリーウッド』は、その名の通り、熟成に3種類の木が使われている。バーボン樽から、オロロソシェリー樽、そして〝キング オブ シェリー〟と呼ばれるペドロヒメネスシェリー樽に詰め替えられて熟成される。熟成期間は特に決められておらず、職人の感覚に委ねられるという、非常にデリケートなウイスキーだ。最初に感じられるのはペドロヒメネスシェリーの香り、続いてオロロソシェリー由来のフレーバーが広がるが、土台はバーボンに支えられているという風に、重層的な味わいが楽しめる。

そして最後には、この日のセミナーのために用意されたオーヘントッシャンのVIPウイスキーが振る舞われた。市場に出回らないスペシャルな一品とあって、参加者達は興味津々。そのまま飲むとスパイシーな味わいだが、水を数滴加えるとフルーティーな香りが漂う。味もよりクリーミーに変化し、飲み方によるウイスキーの多様性を感じさせた。

参加者達は、それぞれの製造過程や、特徴的な味わいについての説明を聞きながら、4者4様のウイスキーを存分に楽しんでいる様子だった。

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シングルモルトで最古の歴史を誇るボウモアの蒸溜所

シングルモルトウイスキーは育まれた蒸溜所によって風味が大きく異なる。中でもMBDの『ボウモア』は地域性の強いウイスキーとして知られている。

ボウモアの蒸溜所は、スコットランド西岸沖に浮かぶアイラ島にある。アイラ島は南北40キロ、東西30キロという小さな島だが、その中に8つものモルトウイスキー蒸溜所があり〝シングルモルトの聖地〟とも呼ばれている。日本の淡路島よりもわずかに大きいだけの島に、なぜこんなにも多くの蒸溜所があるのか。その秘密は、環境にあるという。

アイラ島の平均気温は夏で16度、冬で3度と、日光浴には適していないが、ウイスキー作りには非常に適している。この気候によってウイスキーの熟成はゆっくり進み、深みのある味わいを生み出すのだ。アイラ島の気候に続いて、アイラ島の気候に続いて、ダンダス氏はパワーポイントを用いて、ボウモアの歴史を説明。1779年創業のボウモア蒸溜所はアイラ島で最も古く、スコットランド全体でも2番目に長い歴史を誇るという。今では、ほとんどの蒸溜所が麦芽製造の行程を他社に委託しているが、ボウモアは昔と変わない製法でスコッチ・ウイスキーを作り続けている。

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フレーバーの決め手となるアイラ島ならではの特殊なピート

ボウモアをボウモア足らしめる最大の特徴といえば、何といっても、そのスモーキーなフレーバーだろう。一度味わったら忘れることのできないこのスモーキーフレーバーは、ボウモアが今も自社で行っている麦芽製造の過程で生み出される。

ダンダス氏の説明によると、ウイスキーの原料となる大麦は、まず十分に水に浸されてから、発芽室の床に広げられる。職人の手作業によってかき混ぜられ、空気に触れながら発芽した大麦は、今度は成長を止めるための乾燥室に運ばれる。

乾燥室の下ではピートと呼ばれる腐葉土が焚かれており、この時に発生する燻香が麦芽に染み込んで、印象的なスモーキーフレーバーを生み出す。しかも、アイラ島のピートには海草類や貝殻などの海産物が多く含まれているという特徴がある。これが、潮の香りとして麦芽に宿り、ボウモアのオリジナリティを高めるのに一役買っているのだ。

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百聞は一見に如かず。来場者を唸らせたボウモア体験

今回のセミナーで用意されたのは『ボウモア 12年』、『ボウモア 15年』、『ボウモア 18年』に、オーヘントッシャンと同じく、この日のために準備された『ボウモア VIP』の4種。それぞれに味わいの違う、スモーキーフレーバーをまとったスコッチ・ウイスキーだ。
『ボウモア 12年』は、ボウモア特有のスモーキーさと潮の風味を堪能するのに最適な逸品だとされる。ドライなスモーキー感と、フルーティな風味が見事に調和し、唯一無二のウイスキーに仕上がっているのだ。ダークチョコレートを思わせるような、あたたかみのあるコクがあり、〝ベストバランス・アイラ〟と評される。

ダンダス氏は『ボウモア 15年』を香水のように身体に振りかけることで、その甘美な香りを称讃した。バーボン樽で12年間熟成させた原酒を、オロロソシェリー樽で3年間熟成させることによって、スモーキーかつウッディな香りを実現。多くのウイスキーファンの味覚と嗅覚を虜にしている。
『ボウモア 18年』におけるスモーキーフレーバーは他を引き立てる裏方に徹している。ここでのスモーキーさはあくまで背景で、シェリー樽由来のフルーティな甘さが前面に感じられる。プラムのような果物風味と、クリーミーなバターを彷彿とさせる味わいが同居し、複雑かつ贅沢なテイストを楽しむことができる。

最後に登場した『ボウモア VIP』は、ラストを飾るに相応しいスペシャルな一杯。ピリッとしたソルティさと、キレのあるスモーキーフレイバーを兼ね備えたスタイルが光る。そのままの状態ではドライな印象が強いが、加水すると、舌先に甘さを感じるようになる。この変化に、会場からは驚きの声が上がった。

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最後まで熱が冷めなかった充実の1時間半

セミナーの最後には参加者からの質疑応答の時間が設けられた。

樽に対するポリシーについてダンダス氏は「樽に対するポリシーは変わった」とした上で、具体的には「もっと厳格になったことで質も高くなっている」と回答。
「今後、スコッチモルト製造においてバーボン樽とシェリー樽を使用していくという部分は変わらないのか?」という質問に対しては、「ほとんどはバーボン樽やシェリー樽を使っている」と樽に対する現状を語りつつ、「その一方で、ポート樽や、ワイン樽などの樽も使っている。リリースの数は限られるが、様々な樽の限定品はこれまでにもあったし、今後もリリースするかもしれない。昨年はバージンオークで作った物も出した。様々な樽にチャレンジしている」と、ウイスキーの更なる発展を目指す前向きな姿勢も示した。

参加者からの質問にもひとつひとつ丁寧に答えたダンダス氏。予定されていた1時間半はあっという間に過ぎ去り、大きな拍手に包まれてセミナーは大盛況のうちに終了した。オーヘントッシャンとボウモアの歴史や、クラフトマンシップに対するこだわり、そして個性的なスコッチ・ウイスキーの味わいが余すことなく語られた充実のセミナーであったことを、参加者達の満足げな笑顔や、ぎっしりとメモが書き込まれたノートが何よりも雄弁に物語っていた。

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