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世界が認めたザ・マッカランを支える〝6ピラーズ(6つの柱)〟

究極のラグジュアリー・スピリット「ザ・マッカラン ブランドセミナー」レポート

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2人の最高責任者が明かした〝樽〟と〝スピリット〟へのこだわり

〝ザ・アルティメット・ラグジュアリー・スピリッツ(究極のラグジュアリー・スピリット)〟と評され、世界中のウイスキー通を唸らせ続ける『ザ・マッカラン』。 1824年に政府公認の蒸溜所となってから190年の歴史を誇る同社から、『マスター・オブ・ウッド(樽の最高責任者)』のスチュアート・マックファーソン氏と、『マスター・オブ・スピリット(スピリットの最高責任者)』のボブ・ダルガーノ氏の両名が揃うという史上初の豪華セミナーが開催された。

ザ・マッカランにはブランドを支える6ピラーズ(6つの柱)がある。ラベルにも描かれているザ・マッカランとの象徴〝イースターエルキーハウス〟、徹底した管理を行う〝樽へのこだわり〟、木と歳月が生み出す〝自然色〟、スペイサイドにおける〝最小のポットスチル〟、再蒸溜した蒸溜液のわずか16パーセントのみを使用する〝ファイネストカット〟、そして職人技によって生み出された〝類い稀なるウイスキー〟の6点だ。

両名は、この6ピラーズを中心に、ザ・マッカランが究極のラグジュアリー・スピリットとして愛され続けている由縁を語った。

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色や味わいの60パーセントを決める〝樽〟の重要性

先に登壇したのはマスター・オブ・ウッドのマックファーソン氏。1979年に樽職人の見習いとして入社したマックファーソン氏は、その後、現場監督、総責任者と順調にキャリアを積み上げ、2012年にマスター・オブ・ウッドに就任。樽一筋35年という、この道のスペシャリストだ。

ザ・マッカランはメインで使用するシェリー樽に年間26億円以上もの投資をしている。さらに、スコッチウイスキーの本場であるスコットランドに入ってくる、新しいシェリー樽のうち実に80パーセント以上(13年実績)がザ・マッカランで使用されているというから驚きだ。なぜここまで樽にこだわるかといえば、マックファーソン氏は「樽がウイスキーの色や、味わいに与える影響は60パーセントに上るからです」と話す。

徹底した樽へのこだわりは、投資額や数だけに表われているわけではない。ザ・マッカランでは主にスパニッシュオークと、アメリカンオークのシェリー樽を使用している が、このうちスパニッシュオークに関しては森の管理から、木の伐採、樽の製造に至るまで、すべての行程を自社で管理。アメリカンオークも同じくスペインのヘレスで加工を行っているのだ。

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マスター・オブ・ウッドが語る具体的な樽の製造行程

ザ・マッカランで使用されるスパニッシュオークはスペイン北部のガリシア、アストゥリアス、カンタブリアで伐採され、そこで4~6ヶ月間乾燥させてから、南部のヘレスに運ばれてくる。ヘレスではさらに16~18ヶ月自然乾燥させて、含水率が14パーセントになった段階で、加工へと進むことになる。

樽の形になったら、内部を火であぶるトーストという作業が行われる。この熱処理によって、ウイスキーの風味は大きく変化するので、樽職人にとっては最も気を使う行程のひとつになる。トーストされた樽には、アルコール度数18パーセントのシェリーが注ぎ込まれ、シーズニングが行われる。

こうして完成した樽は、伐採から平均約6年という時間を経て、ようやくスコットランドに届けられるのだ。

同様にアメリカンオークもオハイオ州、ケンタッキー州、ミズーリ州で伐採されてヘレスで加工される。これもまた徹底した自社管理の一環で、マックファーソン氏は年間8回もスコットランドを離れてスペインに向かい、原木からシーズニングまで厳格なチェックを行っているという。

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個性溢れる樽が生み出す、複雑かつ多様性に富んだウイスキー

スパニッシュオークと、アメリカンオークの違いについてマックファーソン氏は次のように説明する。

「アメリカンオークは成長が早く、真っ直ぐ育ち、木目が細かいという特性があるので、中に入れたスピリットが、木材のカラーや風味を取り込むのに時間がかかります。それに対し、スパニッシュオークは成長がゆっくりで、素材としては空洞が大きく、木目が荒いので、スピリットが木の中に染み込んでいきやすい。つまり、木の特性を取り込みやすいという特性があります。」

この差は、実際のスピリットに大きく反映される。スパニッシュオークの樽で熟成されたスピリットは色が濃く、ドライフルーツやオレンジ、スパイスの風味が感じられる。これに対し、アメリカンオークの樽で熟成されたものは色が薄く、バニラやレモン、ココナッツといった風味が出る。これら個性の違う樽で熟成されたスピリットが融合し、複雑かつ多様性に富んだウイスキーが誕生するのだ。

樽職人の役目についてマックファーソン氏は「様々な個性の樽を用意することで、最終的にウイスキーを作る人が少しでも楽になるようにすること」と述べ、そのために自分を含めたザ・マッカランの樽職人達は「人生を捧げている」と力強く語った。

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厳選した素材選びと、熟練した技術から生み出される〝選ばれしスピリット〟

続いて登壇したダルガーノ氏は、1984年にザ・マッカラン入社。倉庫樽管理、仕込み責任者を経て、倉庫責任者に昇格。ブレンダーとして活躍した後、2000年にマスター・オブ・スピリットの称号を得た。2004年には『ファイン・オーク』を発売し、〝今年の革新者〟と〝ウイスキーリーダー〟をダブル受賞している。

そんなダルガーノ氏は、ウイスキー作りの基本となる〝ミンストレル(大麦)〟の紹介から話を始めた。

ザ・マッカランで使用されている大麦は、ウイスキー製造のために開発された同社の独自品種で、蒸溜所内私有地と24軒の契約農家で栽培されている。豊かでフルーティな味わいを醸し出してくれる大麦で、スペイ川近くの泉に湧き出る清らかな水に48時間浸されてから、発芽させられる。

発芽した大麦は粉砕、糖化、発酵という過程を経て、蒸溜へと進む。6ピラーズの1つにも挙げられているように、ザ・マッカランで使用されるポットスチルは他社と比べて小型なのが特徴。さらに、この中から樽での醸造熟成へと向かうことのできるスピリットは、再蒸溜による蒸溜液のうち、最も好ましい香味成分が含まれている16パーセントに過ぎない。このわずかな本流液こそベスト・オブ・ベストと呼ぶに相応しい、選ばれしスピリットなのだ。

樽詰めされた全てのスピリットは、ヴァッティングするまでに少なくとも2回以上はノージングされ、熟成の進み具合や、色付きなどが確認される。やはり、ここでも職人達の経験と技術が頼りになる。

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年数表示に対するチャレンジから誕生した柔軟なウイスキー

ザ・マッカランが誇るウイスキーのこだわりや製造過程などが説明されると、続いては実際のテイスティングに移行した。今回のセミナーで用意されたのは樽や、熟成年数の異なる5種のウイスキー。

まず最初に紹介されたのは、日本で3月11日に発売される『ザ・マッカラン 1824』というシリーズ。6ピラーズの中でも特に〝樽へのこだわり〟と〝自然色〟にフォーカスした製品だ。特徴としては100パーセントシェリー樽熟成で、ボトルに熟成年数の表示がないことが挙げられる。

なぜ年数表示をやめたのか。その点について、ダルガーノ氏は「年数表示をやめることで柔軟なウイスキー作りができ、お客様に提供できる。ザ・マッカランの、年数表示に対するチャレンジだ」と語った。

ウイスキーにおける重要なポイントのひとつに〝熟成度〟というものが挙げられる。これは必ずしも年数に比例するわけではなく、中には若くても熟成度がピークに達する樽もある。熟成年数が逆に足かせになるケースもあるため、年数表示のないシリーズが考案された。

今回日本で限定発表された『ザ・マッカラン1824』はスパニッシュオークとアメリカンオークシェリー樽の1st&2ndフィルを使用した琥珀色の『アンバー』と、スパニッシュオークとアメリカンオークシェリー樽の1stフィルのみで作った黄褐色の『シエナ』、100パーセント1stフィルのスパニッシュオークシェリー樽で熟成された深紅色の『ルビー』の3種類。

今回のセミナーに用意されたのは琥珀色が美しいアンバー。香りはアップルやオレンジのようにフルーティで、口に含むとキャラメルに溶け込んだような少し重めのバニラ感を味わえる。ほのかに香るドライフルーツのようなフレーバーは、スパニッシュオークによる香りで、シトラス系の風味はアメリカンオーク由来。多様な組み合わせにも関わらず、バランスのとれた逸品に仕上がっている。

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未来に向けた意欲作と、時代に左右されない永遠のスタンダード

次にテイスティングが行われたのは『ザ・マッカラン ファインオーク12年』と『ザ・マッカラン シェリーオーク12年』という共に12年物のウイスキー。

ファインオーク12年はスパニッシュオークとアメリカンオークのシェリー樽、そしてアメリカンオークのバーボン樽という3種の樽で熟成されたウイスキーをヴァッティングさせることによって生まれた製品。これまでシェリー樽で大きな成功を収めてきたザ・マッカランにとっては、新しい世界を切り開いた意欲作だ。

ノージングしてみるとオレンジやココナッツに続いて、鼻の奥の方にウッドが感じられる。味わいはフルーツ、オーク、スパイスがきた後に、最後に少しシナモンが残るような印象。全体としてとてもバランスのいいテイストにまとまっている。

『シェリーオーク12年』は、ザ・マッカランの出荷数全体の約半分を占めるコアレンジ。深く美しい金色を湛え、優雅なバニラフレーバーが鼻孔をくすぐる。口当たりは非常にスムースで、干しぶどうのようなドライフルーツテイストの中に、わずかなスモーキーさが漂う。

味、香りともにスパニッシュオークの影響が強く、ザ・マッカランの代表格と言えるだろう。

両者は大きく種類が異なるものの、ダルガーノ氏は「どちらも非常にザ・マッカランらしさが光るウイスキーである」と胸を張った。

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25年の時を超えて人々の口に届く、仕事の成果と情熱

続いての テイスティングは『ザ・マッカラン ファインオーク25年』と『ザ・マッカラン シェリーオーク25年』。今から25年前、マックファーソン氏が樽を作り、ダルガーノ氏が仕込みを行っていた時期に作られたウイスキーだ。ダルガーノ氏は昔を懐かしむような、感慨深い表情で2つのウイスキーを紹介した。

『ファイン・オーク25年』は、アメリカンオーク由来の桃と、スパニッシュオークからブラッドオレンジがミックスされた、熟したフルーツのような強い香りが特徴。豊かなココナッツとバニラ風味が口の中に広がり、スパイシーさとオレンジのような余韻が長く続く。

濃いマホガニー色が目を引く、『シェリー・オーク25年』は、リッチなドライフルーツを想起させる重厚な味わいで、シトラス、シナモン、シェリーなど様々な香りがバラ ンスよく交わっている。木の香りがドライさを演出しており、ヘビーな中にもソフトな印象が余韻として残るテイストに仕上がっている。

「熟成期間として25年は長いが、私にとってはあっという間だった」と、これまでのウイスキー人生を振り返るダルガーノ氏。その情熱は今も変わることなく、「今後とも素晴らしいウイスキーを作って行きたい」と宣言すると、最後は日本語で「ありがとう!」とセミナーを締めくくった。

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