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【セミナー/イベントレポート】カシスリキュールの老舗「ルジェ」の魅力に迫る

徹底したこだわり、合い言葉は「リスペクト・フルーツ」

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リキュール5種の新発売を祝して来日、
ルジェ・ラグート社社長が語る"ルジェの魅力"&"フルーツへのこだわり"と"秘密"

カシスといえば「ルジェ」の右に出る者はいないだろう。フランスのブルゴーニュ地方にある小さな街、ディジョン市で生まれたこの伝統的フルーツリキュールブランドの歴史は1841年に始まった。以来、「フルーツを尊ぶ」べく、『リスペクト・フルーツ』を理念に掲げてきた同社代表取締役社長のクリスチャン・アルブイ氏がこの度来日した。5月20日に発売されたばかりのリキュール5種と共に、世界中の人々から愛され続ける「ルジェ」の魅力とこだわり、そして製造過程の知られざる秘密について語るという異例のセミナーが開催された。

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カシスリキュールの元祖「ルジェ」の歩んできた長い歴史

会場は満席。登壇して開口一番、「こんにちは。本日はこのような貴重な機会を与えてくださって、ありがとうございます」とたおやかな口調で参加者に挨拶したアルブイ氏は、大学でエグゼクティブ学位を取得したのち、現在にわたり30年以上、食品業界に身を置いてきた。リキュールにおけるキャリアは15年に及ぶというこの道のエキスパートである。フランス東部に位置するカシスの名産地・ディジョン市が「ルジェ」の生まれ故郷だ。"フランス産カシス"といってもアンデガなどをはじめ、実にさまざまな種類があるが、ディジョン市で収穫されるカシスは、そのずば抜けて高い品質で世界的によく知られている。カシスの中でも、最高峰といわれる品種"ノワール・ド・ブルゴーニュ"は元々、この地方でのみ栽培されていたという。
「ディジョンは、東京に比べると非常に小さな街ですが、マスタード、ジンジャーブレッド、エスカルゴなど食の名産地としても有名で、エッフェル塔を建設したエッフェル氏の出身地でもあります」とアルブイ氏。

170年以上の年月を越え、現在もなおこの地に拠点を置き、「ルジェ」の開発・製造を行うルジェ・ラグート社を創業したのは、オーギュスト・デニス・ラグート氏。近代的な製法を用いて、世界で初めてカシスリキュールの製造を開始した、まさに"カシスリキュールの元祖"である。社名は、同氏の姓「ラグート」と、1858年に娘婿として同社を引き継いだアンリ・ルジェ氏の「ルジェ」を合わせて生まれたものだ。

世代から世代へと受け継がれ、今日に至るルジェ・ラグート社の長い歴史には、数えきれないほどのドラマがある。が、中でも特筆すべきは「キール」との密接な関係だ。ブルゴーニュ地方特産の辛口白ワイン「アリゴテ」をベースに、「ルジェ カシス」を用いたこのカクテルは、当時、国会議員を務めながら、ディジョン市の市長の座にあったキャノン・フェリックス・キール氏によって考案されたもので、公式歓迎会(レセプション)に訪れる来客に、必ず振る舞われていたそうだ。

いつしか、周りのレストランに勤める人々は「キール市長のアペリティフ(食前酒)」と呼ぶようになり、やがて、略して「キール」と呼ばれるようになり、その後、世界中で広く認知されるようになった。

そして1952年、キール氏が自らの姓である"キール"の使用をルジェ・ラグート社に対し、独占的に認めた。つまり、ルジェ カシスは、ディジョン市の名物市長であったキール氏のお墨付きのカシスリキュールなのだ。アルブイ氏曰く「以来、我が社は、キールとキールロワイヤルの2つの商標を持つブランドオーナーです」。

新工場を建設し、移転。アメリカでは「ルジェ クレーム ド カシス」が、「キール」のレディトゥサーブ(RTS)商品がフランス国内で新しく発売されるなど、2013年は同社にとって非常に大きな動きのある一年だったという。たゆまぬ革新を続ける中、この度、日本で新発売されたリキュール5種。その魅力を語るうえで、まず最初に欠かせない「ルジェ」の根底を流れるフィロソフィーについて語りはじめた。

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徹底したこだわり、合い言葉は「リスペクト・フルーツ」

「我々の理念は、非常に明確で、シンプルです。フルーツなしには成り立ちません」。アルブイ氏は続けて言う。「我々のフィロソフィーである"リスペクト・フルーツ"は、"水と生きる"というサントリーのコーポレートメッセージに非常に近いものを感じています。ゆえに、これからも同じ価値を共有していきたいと思っています」と熱を込めた。

ルジェ・ラグート社がリキュール作りに使用するカシスへのこだわりは徹底している。まず第一に"100%フランス産、100%契約農家で栽培されている品種"であること。さらに、数ある品種の中でも、非常に厳しい品質水準をクリアした「ノワール・ド・ブルゴーニュ」と「ブラックドーン」の2品種だけを厳選使用していることが挙げられる。

特徴的なことを述べると、「ノワール・ド・ブルゴーニュ」は酸味が強く、どことなく草原の草を彷彿させるナチュラルな香りがある。生産量が非常に限られている希少価値の高い品種だ。対して、「ブラックドーン」は独特の程よい甘味と、ほのかに鼻孔をくすぐるフレッシュな香りがトレードマークといえる。

天候に影響され、劣化しやすいカシスの性質上、ルジェ・ラグート社は、収穫にも一貫したこだわりを持ち、それを実行している。毎年冬の1月に栽培を始め、6月下旬~7月上旬に専用の機材を使って収穫を行うが、「ポイントはいかに、短時間、短期間でやるかということです」とアルブイ氏は強調する。"リスペクト・フルーツ"の理念が表わしている通り、何よりも大切なフルーツであるカシスを尊び、その新鮮さを保つためである。収穫したらそれで終わりではない。収穫後も、積み重なる実の重みで他の実を傷めないように、常時15~20キロという小さな単位で箱も変えるという徹底ぶりだ。

また、品種の選別、収穫と同様に、カシス特有の香りと味わいを守るため、品質管理にも抜かりがない。収穫したカシスは、直ちに特別な冷凍装置で保存されている。

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創業以来、守り続けるルジェ・ラグート社独自の「製法」と隠し味の「秘密」

ルジェ・ラグート社のカシスリキュールの製法は、「浸漬」「ブレンド」「瓶詰」の3つの工程から成り立っている。収穫後、前述のとおり、カシスは冷凍保存されている。これをニュートラルスピリッツに浸漬するのがファーストステップとなるが、当然ながら、ただ単に浸して、漬けるのではない。良質なカシスを収穫した後は、その味わいと風味を極限まで引き出すために、8週間もの間、たっぷりと時間をかけて作られるのだ。「浸漬」は、カシスリキュールの品質を決定づける最重要工程であるゆえ、こだわり抜かれている。

次なるステップは「ブレンド」。「浸漬」で出来上がったジュースを砂糖とブレンドする段階にあたるが、実はここに、ルジェのカシスリキュールが特別な理由がある。アルブイ氏の言葉を借りれば、「ルジェ・ラグート社のトップシークレット」とも言い換えることができるだろう。なんと、砂糖と共に、極上のカシスこと「ノワール・ド・ブルゴーニュ種」の蕾から抽出したエキスをブレンドするのだ。1920年代から今に至り、現代女性を魅了してやまない香水にも使用されているそうだ。カシスリキュールでは現在、ルジェ・ラグート社のみが使用している格別なエキスである。

アルブイ氏の説明によると、「このエキスをブレンドすることで、本来カシスが持つ香りをより高め、より深い味わいを実現する"隠し味"になっている」という。なるほど、セミナー中、参加者全員に配られた「ノワール・ド・ブルゴーニュ種」の蕾を合図と共に一斉につぶしてみると、一瞬にして、会場全体に魅惑的な香りが広がった。一度嗅いだら忘れることのできない独特の香りは、自然の産物ならでは。3つめの工程はブレンドされたリキュールの「瓶詰」。その後、ようやく出荷に至る。

人工的な保存料や添加物を一切使わず、あくまでカシス本来の味わいと風味を最大限に活かすべく編み出されたこの製法は、1世紀半以上も前の創業時から変わらず守り続けられている。

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ルジェ・ラグート社の理念が凝縮された「エキストラバージンカシス」

今回のセミナーでは、加糖をする前の製造工程の途中段階でできる「エキストラバージンカシス」、「ルジェ ノワール・ド・ブルゴーニュ」やルジェを代表する「ルジェ クレーム ド カシス」、また新製品の「ルジェ ピンクグレープフルーツ」等のテイスティングが行われた。「エキストラバージンカシス」は、ルジェの理念である「リスペクト・フルーツ」が 詰まっている、とアルブイ氏。セミナー中、何度も繰り返していた"100%フランス産、100%自然由来のもの。また時間をかけてつくったもの"を見事に表現した逸品は純粋にカシスの重みによって自然に抽出された"エキストラバージンカシス"である。日本語でいうところの"一番搾り"にあたる。製造工程にもこだわっており、上から人工的に圧力をかけて絞り取るのではなく、純粋にカシスの重みのみによって抽出されている。「エキストラバージンカシス」の原料の2/3は「ノワール・ド・ブルゴーニュ種」、残りは「ブラックドーン種」だ。アルコール度数は30%。加糖前の為、「ノワール・ド・ブルゴーニュ種」の特色である酸味の強さが、ダイレクトに舌に伝わり、口内にカシスの香りが広がる。ルジェ カシスのファンにはたまらない、余韻を存分に楽しめる「一番搾り」だ。

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個性豊かなルジェのカシス達

次に振る舞われたのは、「ルジェ ノワール・ド・ブルゴーニュ」。その名の通り、「ノワール・ド・ブルゴーニュ種」のエキストラバージンジュース100%のリキュールである。グラスを鼻先に近づけるだけでも、ブレンドされた同種の蕾の香りを最も強く感じられる。

濃厚な紫色は、カシスが全く酸化していない、つまりは新鮮であることの証。また、グラスを回して戻す際、リキュールがゆっくりと戻るのは、フルーツ感、アルコール感が多く含まれているという何よりの証だそうだ。
「ルジェ ノワール・ド・ブルゴーニュは、間違いなくプロフェッショナル・バーテンダー様向けの商品だといえます」とアルブイ氏。テイスティングの後も、上品な酸味が口の中に残るリキュールだった。

続いて、日本での売り上げナンバーワンを誇るルジェ カシスの顔、「ルジェ クレーム ド カシス」のテイスティング。成分は「ノワール・ド・ブルゴーニュ種」と「ブラックドーン」でバランス良くブレンドされており、口の中に含むと、最初に感じられるのはノワール・ド・ブルゴーニュ種の醸し出す酸味、続いてブラックドーン種特有の甘味が広がるが、喉を通る頃には、いわば、ふたつの対照的ともいえるフレーバーが見事に融合している。引いてはまた押し寄せる波のように、飲み干した後の余韻も印象的で、比類なき味わい深さを存分に楽しめる。

このリキュールは、様々なカクテルに使われるほか、ストレートでも楽しむ人が多いが、 流通での滞在期間は、ルジェ・ラグート社の他商品に比べて比較的短く、回転の早い商品である。換言すれば、「より新鮮な状態で、消費者の元に届けられている」ということになる。

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よりフルーティーに、バラエティに富んだ新しいフレーバー

ルジェ カシスの他、「ルジェ グリーンアップル」と、今回、新たにルジェの仲間に加わった「ルジェ ピンクグレープフルーツ」のテイスティングも行われた。

「ルジェ グリーンアップル」はについて「こちらも、"リスペクト・フルーツ"という経営理念をよく表した商品です」とアルブイ氏。青りんごの果実を使用したリキュールは、清涼感の溢れる若草色さながら、のどごしもスムーズで清々しい。フランスでは、ディナー後、オンザロックスで飲むのが主流だそうだ。

先月、発売されたばかりの「ルジェ ピンクグレープフルーツ」は、欧州産ピンクグレープフルーツ果汁を使用したリキュールだ。すっきりした果実感とまろみのある甘さが合わさったフレーバーで、ペールトーンのピンク色も見た目にみずみずしい。本国でも大人気だそうで、ホームパーティ、BBQ、ビーチなどのシーンで好まれており、ソーダやスパークリングワインはもちろんのこと、ロゼワインで割って楽しむのが夏の定番だ。

ルジェ・ラグート社では、すべてのカシスリキュールに、高品質の証明となる「クレーム・ド・カシス・ド・ディジョン」の規格を作り、保証を認めている。具体的には、カシス果実、アルコール、水、砂糖のみを原料として、ディジョン市内で製造しているというものだ。また、競合2社のテイスティングでは、ルジェ・ラグート社のリキュールとの違いを「味わい」「香り」、そして浸漬をはじめとする「製法」及びその期間などの観点から分析した。

リキュール一つひとつの特徴的な風味や飲み方のバリエーションについて語るアルブイ氏を前に、参加者達は皆、それぞれのルジェ カシスを思う存分、堪能している様子だった。

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ルジェ カシスの魅力が凝縮された充実の1時間

セミナーも終盤に近づくと、アルブイ氏は、カシスという原料へのこだわり、カシスリキュール製法へのこだわり、そして秘伝の「ルジェ ノワール・ド・ブルゴーニュ」の蕾エキスについて、再び訴求した後、次のように語った。「日本は世界でも最も品質水準が厳しく、高い国のひとつです。我々は、品質をさらに高めていくためにも、サントリーとは頻繁かつ積極的に、技術交流、情報交換を行わせていただいています」。今後、ルジェ・ラグート社は、品質管理にも益々、力を注いでいく意向である。

「ルジェ ピンクグレープフルーツ」の他、5月20日に発売されたばかりの新商品4種は、今回のテイスティングには登場しなかったが、「ルジェ キャラメル」「ルジェ グリーンミント」「ルジェ バナナ」「ルジェ ペア」、いずれも、セミナー会場の入り口付近に試飲コーナーが設けられ、セミナー後、参加者達が個別に味わいを確かめていた。

セミナー中、アルブイ氏の口から何度も繰り返し発せられた"リスペクト・フルーツ"というフレーズ。ルジェ・ラグート社の掲げる理念については、すでに伝えた通りだが、この考えに則り、カシスをはじめとした良質なフルーツと、揺るぎない伝統的製法の掛けあわせによって生み出されるリキュールの数々は、世界に存在するあまたのアルコール類の中でも、愛すべき普遍の存在といえるだろう。フランス人らしいウィットの効いたアルブイ氏のトークに参加者達は、終始釘付けのようだった。あっという間に予定時刻となり、大盛況のうちにセミナーは幕を閉じた。

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