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【単独インタビュー】米国での空前のブラウンスピリッツバブルを牽引するカナディアンウイスキーの雄

'マイルドな味わい'と'ミキサビリティ'を兼ね備えたカナディアンクラブの魅力

世界中で愛されるカナディアンウイスキーとは?

北米を中心に高い人気を誇っているカナディアンウイスキー。世界ではブレンディッドスコッチの次に売れているウイスキーとして不動の地位を確立している。

カナディアンウイスキーの特徴は「スコッチよりもマイルドで、バーボンよりもスムーズ」と形容される。誰にでも親しみやすいマイルドな味わいで、ミキサビリティも高いカナディアンウイスキーが広く愛されるようになったのは、ある意味で当然の結果だったのかもしれない。しかし、北米でここまでのシェアを誇るようになった背景には、1920年から1933年にかけて施行された禁酒法の影響があったと考えられている。カナディアンウイスキーの成長は、アメリカにおける酒類の歴史とは切っても切れない関係にあるのだ。

今回、カナディアンウイスキーの代表的銘柄である『カナディアンクラブ』のブランドアンバサダー、ダン・トゥーリオ氏が来日。それに合わせてインタビューが行われた。禁酒法以前からウイスキーを作り続けてきた同ブランドの歴史を紐解きながら、カナディアンウイスキーの特性や実情に迫った。

アメリカと共に歩んできたカナディアンクラブの歴史

カナディアンクラブの創業は1858年にまで遡る。創業者のハイラム・ウォーカー氏はアメリカのマサチューセッツ州に生まれた生粋のアメリカ人で、20歳の時にケミカルエンジニアリングの資格を得て、デトロイトに移り住んだ。彼はそこで様々な事業に取り組みながらも、いつかは蒸溜所を立ち上げたいという気持ちを胸に抱いており、スコットランド、アイルランド、ケンタッキーなどを旅しては、それぞれの独特なウイスキーの製法を学んでいったという。そして、40歳の時にそれまで行っていたすべての事業を手放し、デトロイト川の対岸に位置するカナダのウィンザーに500エーカーの土地を購入。蒸溜所を建設し、ウイスキーを作り始めたのが1858年のことだった。

ウォーカー氏は7種類のウイスキーを製造していたが、そのうちのひとつが紳士の社交場であった各地の『ジェントルメンズ・クラブ』で人気となる。彼はこのウイスキーを『クラブ・ウイスキー』と名付け、独自のブランディングに成功した。

アメリカ人である彼が、カナダでウイスキーを作り、それをアメリカで売るというビジネスは、アメリカのバーボンウイスキーの売り上げに大きな打撃を与えた。クラブ・ウイスキーの人気を脅威に感じたアメリカのバーボン業者は、政府に懇願書を提出。カナダ産とアメリカ産のウイスキーを区別し、名称を『カナディアンクラブ・ウイスキー』と改めるよう求めた。バーボン業者からすれば、原産国を明記することでクラブ・ウイスキーの人気を抑えられるだろうとの目論見だったが、結果的にはプレミア感が付随され、ますます人気が高まることとなった。

さらに1920年からアメリカで禁酒法が施行されると、ウイスキーの密造・密輸が盛んになり、粗悪品が大量に流通。上質なカナディアンクラブ・ウイスキーは以前にも増して高い人気となり、アメリカ人の喉を唸らせ続けた。

ウイスキー作りで大きな成功を収めたウォーカー氏だが、彼は家族をとても大切にする人物だった。「ウイスキーの品質を維持するためには、家族生活がきちんと送られていることが必要である」との考えのもと、自分が買い上げた土地に従業員の住居を建設。人が増えるにつれ、消防署や警察署も作られ、そこはいつしかひとつの街となった。この場所は、今でも『ウォーカービル(ウォーカーの村)』と呼ばれており、カナディアンクラブの従業員が暮らしているほか、歴史あるカナダの街として観光に訪れる者も多い。

独自のスムーズさを実現する『プレ・ブレンディング』という製法

カナディアンウイスキーが、カナディアンウイスキーとして認められるためには、厳守しなければいけない基準がある。まずはカナダ国内で製造されていること、そして熟成期間は3年以上と定められている。樽については新品、使用済みという点は問われず、原料も複数種類ということで、どんなものが何%以上使われているといった必要性はない。アルコール度数に関しては、樽詰めされる前の蒸溜液が72%以上で、瓶詰めされた後は40%以下でないことが求められる。

こういった規定についてトゥーリオ氏は「規定にはある程度の幅があるので、その中で様々なラインナップを作ることができます」と語る。そのうちのひとつが、日本限定で販売されている『カナディアンクラブ ブラックラベル』である。アメリカンオーク樽で8年熟成させたこちらのウイスキーは、スパイシーな味わいが特徴。ボトルには美しいアンバーカラーが見えるクリアボトルを採用している。トゥーリオ氏がオススメする飲み方は水割りとのこと。シンプルに氷と水を合わせることで、ウイスキーが持つライ麦由来の豊かなコクが非常に引き立つと話してくれた。

カナディアンクラブのウイスキーにはトウモロコシ、ライ麦、ライ麦麦芽、大麦麦芽などが使用されている。トウモロコシで作られるスピリッツは匂いも色もないベースウイスキーとして、ライ麦やライ麦麦芽、大麦麦芽から作られるスピリッツは香りや味の決め手となるフレーバーリングウイスキーとして機能している。そして、カナディアンクラブ最大の特徴といえるのが、創業当時から行われている『プレ・ブレンディング』という製法。ブレンデッドウイスキーの多くは、ある程度の熟成を終えた原酒同士をブレンドして作られるが、カナディアンクラブでは蒸溜したての状態でベースウイスキーとフレーバーリングウイスキーをブレンドし、それを樽に詰めて熟成させる。こうすることで、熟成期間中に樽の中で様々なマリアージュが生まれ、独特のスムーズな味わいが実現されるのだ。

この製法をトゥーリオ氏は、カレー作りに例えて説明してくれた。曰く「カレーを作るときに、人参は人参、ジャガイモはジャガイモ、肉は肉でそれぞれ下味をつけておくと、それぞれの個性が引き出される(蒸溜)。それを一緒にしてゆっくり煮込む(熟成させる)ことによって、よりまろやかな味になるのです」とのこと。「カナディアンクラブを初めて飲む方は、そのスムーズさに驚くと思いますが、これはプレ・ブレンディング製法だからこそ出せるものです」とも語ってくれた。

ブランドアンバサダーが教える美味しいハイボールの作り方

「カナディアンクラブはハイボールに最適なウイスキー」と語るトゥーリオ氏。その理由として「スコッチのようなスモーキーさや、バーボンのような樽由来の強いクセがなく、マイルドな感じがハイボールにはパーフェクトなんです」というポイントを挙げてくれた。実際、北米でも最もポピュラーな飲み方はハイボールだとか。どんな食事とも相性が良く、性別や年齢を限定しない飲みやすさが、人気を博しているようだ。

トゥーリオ氏が勧めるハイボールは、カナディアンクラブ30mlに対して、レモンをたっぷり絞り、氷を入れてから、ソーダが1対5の割合になるように注ぐという作り方。ポイントは「レモンは、恋人を抱きしめるくらい強く絞ること」だそう。そうすることでレモンオイルが抽出され、ビタミンCも豊富になり、フレッシュさも格段に高まるという。このレシピで作ると、アルコール度数は約6%になる。一般的なハイボールのアルコール度数が8%ほどであることを考えると、非常に飲みやすい仕上がりであることがわかる。

もちろん、カナディアンクラブはカクテルのベースとしても申し分ない働きをしてくれる。マイルドで飲みやすいということは、すなわちミキサビリティの高さを意味しているのだ。カクテルを作る際、ベースとなるお酒は、他のリキュールより前に出すぎてもいけないし、干渉してもいけない。その点、マイルドさとスムーズさを兼ね備えるカナディアンクラブは、他の素材と喧嘩することなく自然と溶け込むのだ。そういった使い勝手の良さを評価するバーテンダーも多い。本国カナダでは、100%ライ麦のカナディアンクラブが発売され好評を得ているが、こちらはマンハッタンやサイドカーなどのカクテルでよく飲まれているそうだ。

今回のインタビューの最後には、サントリーから発売されている『フォレスティ』とカナディアンクラブで作ったハイボールが用意された。白州の森の香りをイメージして作られたフォレスティは、フレッシュなレモンとライムのフレーバーが特徴的なソーダ。これを使ったハイボールを試飲したトゥーリオ氏は「どういうマジックを使ったのかわからないが、確かにレモンやライムの柑橘感がよく出ている。非常にフレッシュでカナディアンクラブとの相性もいいので、家にレモンがない時でもフォレスティなら気軽に美味しいハイボールが楽しんでもらえると思う」という感想を述べ、インタビューを締めくくった。

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