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【セミナー/イベントレポート】日本の四季を凝縮したジャパニーズクラフトジン「ROKU」が新発売!

旬のボタニカルと卓越した職人技によって生み出された日本ならではのクラフトジン

日本らしさが感じられる6種のボタニカル

クラフトビールやクラフトウイスキーなど、酒類業界ではクラフトブームが巻き起こっているが、最近では欧州を中心に〝クラフトジン"への関心が高まっている。そんな中、サントリースピリッツ株式会社は、「日本ならではの魅力的なジンをつくりたい」という想いから、ビームサントリー社と共同で商品開発に着手。桜花、桜葉、煎茶、玉露、山椒、柚子という日本ならではの6種のボタニカルを使用したジャパニーズクラフトジン「ROKU」を完成させた。
同商品は、各ボタニカルを旬な時期に収穫し、それぞれの特徴が際立つような製法で蒸溜することで〝日本の四季"を表現。六面体のボトルには、各面に6種のボタニカルが刻まれている。さらに、ラベルには和紙を使用し、印刷カラーは白、黒、赤、金に統一するなど、視覚的にも日本らしさにこだわっているのが特徴だ。
「四季が生んだ6種の日本のボタニカルでつくられたジャパニーズクラフトジン」と銘打たれた「ROKU」。この新商品の発売を記念して東京都内でセミナーが開催され、サントリースピリッツ株式会社商品開発研究部のシニアスペシャリストである鳥井和之氏が、「ROKU」の魅力や製法のこだわりについて語った。

ジンの枠組みを逸脱せずにオリジナリティーを追求

鳥井氏によると、ジンというお酒の定義はあまり厳密ではなく、世界的には「ジュニパーベリーの香りがあるもの」や「ジュニパーベリーの蒸溜液を使用したもの」と表現されているという。そのため、品質の幅が非常に広く、つくり方に自由度があるお酒という特性がある。
「ROKU」に関しては、6種類の日本のボタニカルだけでなく、伝統的なジンに使われている8種のボタニカル(ジュニパーベリー、コリアンダーシード、アンジェリカルート、アンジェリカシード、カルダモンシード、シナモン、ビターオレンジピール、レモンピール)も使用されており、日本的でありながらもジンという枠組みからは逸脱していない。
もともとジンというのは、非常にクリアでシャープなお酒として知られているが、「ROKU」に使用されている桜や茶などのボタニカルは味わいが繊細で、トラディショナルなジンとは別の特徴を持った素材とも言える。それらの特性をひとつのジンの中で両立させる工夫として、鳥井氏は〝優しい"というニュアンスをキーワードに掲げた。
桜の花と葉を使用することで優しい香りづくりを目指した。ただし、優しさばかりを追求すると、全体が丸くなりエッジが失われる。そこで、今度はしっかりとエッジを立たせるために、煎茶や山椒を使用して、苦みやスパイシーさを加えた。ここでも強烈なインパクトを求めるのではなく、優しい苦みや優しいスパイシーさをつくりだすことによって、全体的に日本らしさが感じられるジンに仕上げたのだ。

厳選された6つの個性的なボタニカル

「ROKU」にシトラス感を加えるボタニカルには、柚子が選ばれた。この理由について、鳥井氏は「かぼすや、すだちなど、和柑橘には様々な種類があるんですけど、一番わかりやすいものとして、最終的には柚子になりました」と説明。
桜の花は、生のままで収穫し、水洗いした後に浸漬。漬け込んだ後、減圧蒸溜して原酒を製造している。桜の葉は、花とは違う品種が使われており、こちらも手積みの後に、水洗い、浸漬という工程を経て蒸溜されている。
ジンにエッジを与えるために欠かせない煎茶は、粉砕せず、そのまま漬け込むことによってビターな風味を引き出している。同じく、お茶の一種である玉露は、甘み成分をプラスするという役割で加えられた。
山椒は生のままだと独特の香りが出てしまうため、乾燥させてから使用。天日干しにすると、ゆっくりと乾燥が進むため、様々な成分が残ってバランスのよい風味になるが、一方で茫洋とした印象になってしまうというデメリットもあるので、少し尖った印象を残すために機械乾燥のものも使用している。

「ROKU」の製造を支えるサントリーの歴史と技術

厳選されたボタニカルの香味を最大限引き出せるかどうかは、蒸溜作業にかかっている。具体的に言えば、蒸溜前にボタニカルを何時間漬け込むか、素材を丸ごと使うのか一部だけ使うのか、あるいは粉砕するかしないかなどによって、香味は大きく変化するという。
「ROKU」を構成する原酒づくりには、素材やタイプの異なる蒸溜釜が使用されており、それぞれのボタニカルに合わせた方法で蒸溜が行われている。蒸溜がジンづくりに及ぼす影響について、鳥井氏は次のように説明した。
「いろいろな蒸溜の仕方があるんですけど、まずアルコール度数によって、出てくる成分や濃度が変わります。例えば、59%のアルコールを蒸溜するのと、25%のアルコールを蒸溜するのとではまったく違う原酒ができあがります。それに、蒸溜前に漬け込む時間や、蒸溜釜の素材がステンレスか銅かによっても仕上がりは違ってきます。また、蒸溜の温度や時間、割り水の品質なども重要です。そういったことを調整して、目標にあったものをつくっていくのが蒸溜という作業になります」
こうした細かい調整を実現できる高度な技術は、サントリーが誇る長い製造の歴史によって支えられている。同社では、1936年からジンを製造しており、その技術やノウハウの蓄積が「ROKU」の開発にも大いに役立ったと鳥井氏は語った。

複層的で繊細な味わいを実現する「ROKU」の構成原酒

「ROKU」を構成するボタニカルや蒸溜方法の説明に続いては、試飲が行われた。
最初に紹介されたのは、柚子の蒸溜酒。サントリーでは、柚子のリッチで深みのある味わいを引き出すための独自技術を開発し、銅製の蒸溜釜で常圧蒸溜を行っている。こうしてつくられた柚子の蒸溜酒は、奥行きのある酸味が感じられた。
続いて紹介されたのは、桜の蒸溜酒。ノージングした瞬間に、それとわかる桜の香りが立っており、口に含んでみるとほのかな甘みが感じられる。桜は普通に蒸溜すると野菜を煮込んだような香りや、焦げたような風味が出てしまうため、減圧蒸溜という方法を採用して甘みを表現している。鳥井氏によれば、通常のジンはすべてのボタニカルを一緒に入れて蒸溜するそうだが、「ROKU」はそれぞれの味わいが生きるような蒸溜を行った上で、最後にすべてをブレンドするという方法がとられている。
3つ目には、伝統的なジンに使われる8種のボタニカルからつくられた蒸溜酒が登場。この蒸溜酒は、1回目はジュニパーベリーのみ、2回目に他のボタニカルを加えた状態というように2回に分けて蒸溜が行われている。蒸溜を2回に分ける理由については、「ジンであるからには、ジュニパーベリーは欠かせません。その香りを引き出す必要があるんですが、雑味は減らしたいので、このような製法をとっています」と説明された。
最後に登場したのは、本日の主役である「ROKU」。6種類の日本のボタニカルと、伝統的なボタニカルの香りが階層的に感じられ、爽快感と優しさをあわせ持った味わいが口の中に広がった。余韻は、ジン特有のキレがしっかりと感じられつつ、玉露や桜などの優しい甘みも健在。加水すると、玉露や桜の存在感が一層際立って感じられた。
すべての説明と試飲を終えた鳥井氏は、最後に「ROKU」を使ったカクテルをつくる際のポイントを紹介。「非常に繊細なジンなので、カクテルをつくるときに合わせるのも優しい素材がオススメです。例えば、砂糖を使うのであれば、和三盆のような優しい甘みとの相性がいいと思います」と、ここでも〝優しい"というキーワードを交えて提案した。
オススメの飲み方としては、「ジンのキャラクターをよく味わうためには、チェイサーを用意してウイスキーのような飲み方をするのがいいかと思います」とした上で、「自由に楽しんでいただくのであれば、今オススメしているのは、ジントニックに生姜のスライスを加えたものです」と紹介。「ROKU」の魅力や可能性を余すところなく伝えて、セミナーを締めくくった。

取材・文/阿部光平

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