2017年11月13日

第7回 メーカーズ・ショコラ・マルガリータ・レシピ

「バーボン・マルガリータ」をテーマに据え、「サントリー ザ・カクテルアワード」のチャンピオンに新レシピ提案を受ける企画、その第2弾に登場するのは、2007年の覇者・笹澤崇之さん。笹澤さんは受賞当時、京王プラザホテルに勤務していたが2015年に独立、埼玉県で「Bar & Kitchen澤田」を営む。オーナーとなった笹澤さんによる新レシピは果たして…。

「封蝋」が印象的なショコラ・マルガリータ

キャラメルとチョコレートリキュールのマルガリータのレシピ

 みなさんがご存知の通り、ベースのバーボンとして使用される「メーカーズマーク」は、美しい真紅の「封蝋」が印象的なボトルに詰められている。「封蝋(sealing wax: シーリング・ワックス)」とは、手紙などの封をする際に蝋を用い、その蝋に紋章などを刻印することで未開封の証明とする手法。この手法は高級酒にも使用され、封蝋されたボトルはその中味が「本物である」ことを主張する。現在でも手作業でこの封蝋を施す「メーカーズマーク」は、その象徴だ。

 笹澤さんは「(本レシピのグラスに施した)封蝋のデコレーションはだいぶ前から温めていて、『メーカーズマーク』がテーマになった場合は試してみよう」と構想を描いていた。

 封蝋に使用するのは、赤い食紅で色付けしたホワイトチョコレート。「チョコレートを使うと、それに合うのはチョコレートリキュールかコーヒーリキュールしかない」という必然が生じる。

 さらに「バーボンを使って新しいものを作りたかったのですが、マルガリータの定義は守りたかった」という笹澤さんは、マルガリータの特徴である塩、ホワイトキュラソーと酸味を残したいと考えた。するとバーボン、チョコレート、ホワイトキュラソー、塩の4要素がすぐに絞り込まれた。あとは「塩とのマッチングに何を持って来るか…と考え、塩キャラメルが思いついた」と、笹澤さんは淡々と語る。

 京王プラザホテル勤務時代、マンスリーでオリジナル・カクテルを提供する必要もあり、常にカクテル・レシピについては頭を巡らせるよう癖がついていた。提案が通らなかった際、コンペティションで敗退した際、そのレシピやパターンは自身の引き出しにストアするようになった。テーマを与えられた際、その引き出しから取り出し、レシピを微調整し、味を変えることで、完成までの近道になっているケースも多いという。

「カクテルにはコンセプトがなければならない」というのが笹澤さんのポリシー。「使用する材料のひとつひとつに意味があり、そのレシピだからこそ、このネーミング」とコンセプトに意義がなければ、「プロではない」と語る。

 テキーラのマルガリータでは決して生まれない、「メーカーズマーク」のスムーズさを活かした、甘さの中にしっかりと芯のあるバランスの取れた一杯が、これだ。


材料名
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A. 食紅で色付けしたホワイトチョコレート 適量
B. メーカーズマーク 30ml
C. モーツァルト ブラック チョコレート リキュール 10ml
D. ホワイトキュラソー 10ml
E. フレッシュ・レモンジュース 5ml
F. キャラメル・シロップ 5ml
G. キャラメル・シロップにつけた塩 適量

作り方
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1. Aをグラスにゼッピング
2. 1の形を整え、冷蔵庫に入れて冷やす
3. B, C, D, E, Fをシェイカーに入れ、氷とともにシェイク
4. 2のグラスにGをハーフムーン状につける
5. 4に3を注ぎ、完成

Bar & Kitchen 澤田 (バー・アンド・キッチン・サワダ)

お店情報

住所 埼玉県さいたま市南区鹿手袋1-3-10
TEL 048-864-7766
営業時間 12:00~14:30(ランチ)
18:00~0:00(ディナー)
定休日 月曜、第1・第3火曜

Maker’s Mark ブランドブック 第7回

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取材記者 たまさぶろ プロフィール

週刊誌、音楽雑誌編集者などを経て渡米。ニューヨーク大学などにてジャーナリズム、創作を学ぶ。ベルリッツやCNN本社など勤務後に帰国。『月刊プレイボーイ』、『男の隠れ家』などに寄稿し、BAR評論家に。著書に、女性バーテンダー讃歌『麗しきバーテンダーたち』、ニューヨークのBAR事情も交えたエッセイ『My Lost New York ~ BAR評論家がつづる九・一一前夜と現在(いま)』など。

著書

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