BAR業態様 限定

【セミナー/イベントレポート】2つのシェリー樽の融合によって誕生した"次世代のスタンダードマッカラン"

アメリカンオークとヨーロピアンオークが織りなす「ザ・マッカラン ダブルカスク12年」のパーフェクトなバランス

「ザ・マッカラン ダブルカスク12年」が日本初上陸

ウイスキーファンが着実に増え続ける中、2017年3月7日にはザ・マッカランの新商品「ザ・マッカラン ダブルカスク12年」が日本に初上陸。これを記念して、マスターディスティラーのニック・サヴェージ氏が来日し、アメリカンオークとヨーロピアンオークで造られた2種類のシェリー樽を融合させた"次世代のスタンダードマッカラン"の魅力を伝えた。

ザ・マッカランの伝統を支える"6つの柱"

2016年にザ・マッカランのマスターディスティラーに就任したニック氏。彼が担う責任は、樽やニューメイクスピリッツの品質管理から、ボトリングの前のウイスキーメイキングの仕事まで多岐に渡る。今回のセミナーでは、ザ・マッカランが歩んできたブランドの歴史や、ウイスキーづくりのプロセス、そしてテイスティングを交えて「ザ・マッカラン ダブルカスク12年」の特徴などが語られた。
ザ・マッカランには、ブランドを支える"6つの柱"がある。ニック氏は自己紹介に続いて、その柱についての説明を始めた。
1つ目の柱は、ラベルにも印刷されている伝統の象徴"イースターエルキーハウス"。ザ・マッカランの蒸溜は1824年に始まり、そこから約200年に渡ってウイスキーづくりが続けられている。
2つ目の柱は、"スペイサイドで最小の蒸溜釜"。ザ・マッカランの蒸溜所はスコットランド北部にあるスペイ川流域のスペイサイドと呼ばれる地域にあり、ここで使用されている小型の蒸溜釜では、コクがありフルーティーさが際立った蒸溜液が生産されている。
3つ目の柱は、"ファイネストカット"。ザ・マッカランでは、再溜による蒸溜液のわずか16%のみを使用している。ニック氏は、この選ばれし原酒を「最高中の最高」と表現した。
4つ目の柱は、徹底して品質にこだわっている"樽"。原木の伐採から組み立てにいたるまで、ザ・マッカランでは樽造りにおけるすべてを自分達で管理している。
5つ目の柱は、ウイスキーの"色合い"。ザ・マッカランのウイスキーの色合いは100%が樽由来の自然色で、カラメルなどは一切使用されていない。
6つ目の柱は、"卓越した職人魂"。約200年に渡って受け継がれてきた職人の技と魂は、今もウイスキーづくりに欠かせない重要な要素として位置付けられている。
これら"6つの柱"こそが、ザ・マッカランの源泉であり、彼らのウイスキーが世界中で支持され続けている秘訣なのだ。

ウイスキーづくりにおける樽の重要性

前述の通り、ニック氏はマスターディスティラーとして徹底した樽の品質管理を行っている。"6つの柱"の説明に続いては、ウイスキーの仕上がりに大きな影響を及ぼす樽造りについて、さらに深く掘り下げた話が展開された。
ザ・マッカランではアメリカンオークとヨーロピアンオークの2種類の樽を製造しているが、その両方ともが原木の伐採という工程からスタートする。伐採された原木は、乾燥させてから樽材に加工。その状態でさらなる乾燥期間を経て、スペインの職人の元で組み立てられている。組み上がった樽は約18ヶ月をかけてオロロソシェリーでシーズニングされ、スコットランドへ輸送。そこでニューメイクスピリッツが樽詰めされて、ようやく熟成が始まるという流れだ。
樽造りに多くの時間と手間をかける理由について、ニック氏は「最終的なウイスキーの風味の80%は樽材に由来しています。色に関しては、100%が使用している木材由来の自然のものです。だからこそ、私たちは徹底して品質にこだわっています。樽になってから初めて見るのではなく、伐採の段階からすでに品質を見ているのです」と説明。ウイスキーづくりにおける樽の重要性を力説した。

アメリカンオークとヨーロピアンオークの異なる個性

「ザ・マッカラン ダブルカスク12年」では、アメリカンオークとヨーロピアンオークで造られた2種類のシェリー樽が使われている。
このうちアメリカンオークは、通常約70年で収穫が可能で、原産地はアメリカのオハイオ州となっている。この木を使用している理由として、ニック氏は「アメリカンオークは、非常に木目が詰まっており、樽造りには理想的な木材です。また、ウイスキーに及ぼす影響としては、バニラやレモネード、クリームソーダ、あるいはココナッツのような風味が与えられます」と解説した。
一方のヨーロピアンオークは、収穫できるまで約100年を要する。アメリカンオークに比べてタンニンの量が5倍も多く、ウイスキーの色と風味に多大な影響を与える。具体的な風味の特徴は「ドライフルーツのような甘さや、ジンジャーやシナモンのようなスパイシーさが出てきます」と語られた。
この個性的な2つの樽での熟成が、「ザ・マッカラン ダブルカスク12年」の芳醇で複雑な味わいを生み出しているのだ。

高い品質を保つための定期的なサンプリング作業

樽詰めされた原酒は定期的なサンプリングによって、その品質がチェックされている。ザ・マッカランには約28万樽のストックがあり、それらが4つのタイミングでサンプリングされているそうだ。
最初のサンプリングが行われるのは、樽詰めから6ヶ月のタイミング。この時には、ウイスキーの色や風味に影響を与える樽の品質がチェックされる。
次にサンプリングが行われるのは8年目。長い熟成期間を経てきたウイスキーの色合いや風味を確認し、「ザ・マッカラン ダブルカスク12年」を造るためには、どれくらいの分量が必要かといった検討が行われる。
3回目のサンプリングは10年目で行われる。あと2年で瓶詰めというタイミングなので、このときには商品のプロトタイプが造られる。
最後のサンプリングは12年目のとき。最終的な評価として、味、色合い、特徴を確認し、バランスを見極めながら瓶詰めされる。
このように段階的にサンプリングをすることで、ザ・マッカランは常に高いレベルの品質を保っているという。

テイスティングから見えてくる「ザ・マッカラン ダブルカスク12年」の独自性

ザ・マッカランの歴史や、ウイスキーづくりのこだわりを踏まえた上で、続いてはテイスティングを交えた商品紹介が行われた。
最初に紹介されたのは「ザ・マッカラン ファインオーク12年」。シェリー樽熟成とバーボン樽熟成の原酒をヴァッティングした、明るい麦わら色が特徴的なウイスキーだ。
ニック氏が「香りが華やかで、口の中で味わっていただく前に、とても新鮮なウイスキーであることが想像していただけると思います」と語るように、グラスからはシトラスのようにフルーティーで、バニラのように甘い香りが漂う。口に含むと、バタースコッチを思わせる甘さの奥に、ジンジャーのようなスパイシーさが感じられる。
このウイスキーについて、ニック氏は「本日ご用意した3つの製品の中で、このウイスキーはアメリカンオークの特徴を多く持つ味わいです」と話した。
次に紹介されたのは、「ザ・マッカラン シェリーオーク12年」。ドライフルーツやバニラを思わせるリッチな味わいで、優雅な金色を湛えている。
このウイスキーについて、ニック氏は「これは本当にザ・マッカランの伝統的なシェリーオークの作品だと思います」とした上で、「ジンジャーやドライフルーツの香りが立っており、レーズンやイチジクを思わせる深みのあるリッチな味わいです。これらはすべてヨーロピアンオーク由来の風味で、そういう意味で『ファインオーク12年』とは正反対に位置するウイスキーといえます」と解説した。
アメリカンオークの影響が色濃い「ザ・マッカラン ファインオーク12年」と、ヨーロピアンオークの影響を強く受けた「ザ・マッカラン シェリーオーク12年」のテイスティングが終わると、両方の樽の個性が融合した「ザ・マッカラン ダブルカスク12年」が登場。その特徴について、ニック氏は次のように語った。
「とても甘いバタースコッチやハニーのような、最初にそういう香りを感じていただけるでしょう。もちろん、ジンジャーのような風味もありますが、やはり全体的には芳醇で丸みのある、クリーミーな香りがしてくると思います。そうしたアメリカンオークからくる風味がある一方で、ドライフルーツの風味はヨーロピアンオーク由来のものです。
味わいについては、水を少々加えることによってフルーティーさが拡大されます。そして同時に、ハニーの味わいも際立ってきます。アメリカンオークからくるレモネードの風味もありますが、シェリーオーク樽で造っているので、全体的にとても丸みのある甘さに仕上がっています。
香りにおいても、味わいにおいても、アメリカンオークが持つ風味、そしてまたヨーロピアンオークが持つ風味の両方をパーフェクトなバランスで感じていただけるはずです」
アメリカンオーク由来のウッディさと、バニラやバタースコッチのような味わい。そして、ヨーロピアンオーク由来のスパイシーさと、ドライフルーツを思わせる味わい。ニック氏が「2つの樽が持つ特徴を"いいとこ取り"したもの」と表現しているように、「ザ・マッカラン ダブルカスク12年」は、特徴的な2つの樽から生まれた個性が、ぶつかることなく見事に調和している。まさに、"次世代のスタンダードマッカラン"というに相応しいウイスキーだ。
すべてのテイスティングを終えると、ニック氏は「ザ・マッカランは、常に新しいものに挑戦する姿勢を持っています。革新に対する挑戦ということで、今後もこのような革新を続けていきたいと考えています」と力強く語り、スコットランドで「乾杯」を意味する「スラーンジ」の掛け声でセミナーを締めくくった。

取材・文/阿部光平

このページの先頭に戻る